航空機技術を応用した自動車づくり

SUBARUは、中島飛行機という航空機メーカーから派生した自動車ブランドです。航空技術者が自動車開発に携わることも多かったためか、唯一無二なメカニズムを数多く開発しました。特に、水平対向エンジンと4輪駆動の技術といえばスバルの代名詞でしょう。

1958年には、航空機技術を応用した軽自動車「スバル・360」を発表。大人4人を載せても問題ない高度な走行性能、限られたスペースで快適さを確保するためのさまざまな工夫が凝らされていました。これまでの軽自動車は、高額で大衆の手には届かない存在でしたが、比較的廉価だったスバル・360が「てんとう虫」というあだ名で大衆に広く受け入れられました。マイカーという言葉を生み、浸透させた立役者として評価される名車としても知られています。

もともとは富士重工業株式会社という商号でしたが、2017年に自動車ブランドで知名度を獲得していたスバル（SUBARU）の名を取り、商号を「株式会社SUBARU」に変更しました。

水平対向エンジンを搭載

スバルと聞けば、「水平対向エンジン」にこだわりを見せるメーカーとして有名です。水平対向エンジンは、水平方向に配置されたピストンする様子が、ボクサーたちがパンチを打ち合うように見えることから、「ボクサーエンジン」ともいわれています。実際、スバルが使っている水平対向エンジンはSUBARU BOXERという名称です。シリンダーを水平かつ左右対称に配置することで、低重心・安定性の向上・軽量・低振動な車をつくれるというメリットがあります。スバルの得意とする常時4輪駆動システム（シンメトリカルAWD）も、水平対向エンジンによって実現されています。

また、自動車の環境規制を目前に、水平対向のディーゼルエンジン「ボクサーディーゼル」の開発にも着手していました。水平対向の仕組みはディーゼルに非常に向いていましたが、こちらは生産終了。現在は、水平対向エンジンと電動技術を組み合わせたe-BOXERという独自のハイブリットシステムを生み出してEV化に舵を切っています。スバルらしい快適な走りはEV車でも健在です。

なお、水平対向エンジンに並々ならぬこだわりを見せるメーカーは、ポルシェとスバルが2強。水平対向エンジンを大衆向けの車種に搭載しているのは、今のところスバルだけです。あまりライバルがいないので目覚ましい進化を遂げにくいなど、たしかにデメリットはあります。しかし、スバルというブランドをこよなく愛する「スバリスト」と呼ばれるコアなファンを誕生させるに十分な、ロマンあるこだわりです。